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ADHDのメモの取り方は「きれいに取らない」が正解——書いた場所ごと忘れる人の外部記憶システム

ADHDのメモの取り方は「きれいに取らない」が正解——書いた場所ごと忘れる人の外部記憶システム

※本記事にはプロモーションが含まれます。

「ちゃんとメモを取りなさい」と、これまで何回言われてきましたか。

言われるたびに反省して、新しいノートやメモアプリを用意して、数日できれいに書くのをやめて、そのうちメモの存在ごと忘れる。筆者もこのループを何周もしてきました。ADHD当事者で、聞きながら書けない・書いた場所を忘れる・見返さない、の三拍子がそろっています。

それでも今、仕事は回っています。営業の商談も、複数の事業のタスクも、このブログのネタ管理も。変わったのは記憶力ではなく、「きれいなメモを取る」を完全にあきらめたことです。この記事では、メモの技術を磨く方向ではなく、メモに求める仕事を減らして残りを仕組みに渡す方向の解決策を解説します。

結論を先に言うと、こうなります。

  1. メモは1行だけ書く(文章にしない)
  2. 書く場所を1つに固定する(分類しない)
  3. 整理・要約・見返しはAIの仕事にする(人間は投げ込むだけ)

「メモが取れない」の正体は1つではない

まず問題を分解します。「メモが苦手」とひとくくりにされがちですが、実際には詰まっているポイントが3つあり、それぞれ別の問題です。

詰まりポイント起きていることよくある(効かない)助言
① 書く余裕がない聞きながら書くと、聞くほうが疎かになる。書き終わる頃には話が進んでいる「要点だけ書け」
② 書いた場所を忘れるノート・付箋・アプリ・手の甲に分散して、どこに書いたか思い出せない「メモは一元化しろ」
③ 見返さない書いたことで安心して終わる。読み返す習慣が一度もついたことがない「毎晩振り返りの時間を作れ」

この3つ、よく見ると共通点があります。どれも「書く」以外の仕事をメモに背負わせたときに破綻しているんです。聞きながら「要約」する、書く前に「分類」する、書いた後に「振り返る」。メモ術の本が教えてくれるのは主にこの3つの技術ですが、要約も分類も振り返りも、そもそも別の作業です。メモを取りながら同時にやるものではありません。

だから方針はこうなります。メモから要約・分類・振り返りを全部取り上げて、「書き留める」だけの仕事に戻す。取り上げた仕事は捨てるのではなく、AIに渡します。

ルールは3つだけ。「1行・1箇所・見返さない」

ルール1:1行だけ書く。文章にしない

「あとで読んでわかるように書こう」をやめます。書くのは、思い出すためのフックになる単語の並びだけ。

A社 見積 金曜?
経費 レシート 財布のやつ
記事ネタ メモ取れない問題そのもの

この程度で構いません。むしろこれ以上書こうとするから、書いている間に会話や思考に置いていかれます。1行なら、話を聞きながらでも10秒で戻ってこられる。「きれいに書けないから書かない」より「汚くても1行残る」ほうが、後工程で圧倒的に価値があります。汚さは後でAIが吸収してくれるので、ここでは問題になりません。

ルール2:書く場所を1つに固定する。分類はしない

仕事用・プライベート用・アイデア用とノートを分けた瞬間、「これはどっちだっけ」という判断が発生します。判断が発生すると手が止まり、手が止まると書かなくなる。そして分けた場所の数だけ「どこに書いたっけ」が増えます。

なので、全部同じ場所に、時系列で放り込みます。仕事のTODOの次の行に晩ごはんの買い物が来ていい。カテゴリ分けはしない。フォルダも作らない。行き先が1つなら「どこに書いたか」は考えるまでもなく、探す場所も1つで済みます。書いた場所ごと忘れる問題は、記憶力ではなく場所の数を1にすることで消します。

場所はスマホのメモアプリでも、テキストファイル1枚でも、後述する紙のノート1冊でも構いません。条件は「3秒で開けること」と「増やさないこと」だけです。

📌 【公開前に対応】TODO: スクショ: 実際の1行メモ置き場(メモアプリ等)の画面。仕事・生活・ネタが混在している数行。固有名詞・顧客名が映らない範囲でトリミング(blog-neta-cho のスクショと共用可)

ルール3:見返すのは自分の仕事ではない

ここがこの記事の中心です。メモ術が最後に要求してくる「定期的に見返して整理しましょう」——これができる人は、そもそもメモに困っていません。筆者は見返す習慣がついたことが一度もなく、今後つく見込みもないので、見返す係をAIにしました

人間の仕事は投げ込むところまで。取り出して並べ直すのはAIの仕事。この分担にした瞬間、「見返さないから意味がない」という、メモ挫折の最終ボスが消えます。

整理・要約・分類はAIにやらせる

やり方は単純です。1行メモの置き場をテキストファイルにしておき、Claude Code(ターミナルで動く、ファイルを直接読み書きできるAI)にそのファイルを読ませます。筆者が実際に使っている指示はこんな形です。

memo.txt を読んで、
1. 期限がありそうなもの(今日・今週)
2. 誰かへの連絡・返信が必要なもの
3. それ以外(アイデア・買い物など)
に分けて、上から優先順に並べてください。
意味が取れない行は「不明」としてそのまま残して。

殴り書きの1行たちが、数十秒で「今日やることリスト」に化けます。ポイントは最後の1文で、AIに勝手に捨てさせないこと。「A社 見積 金曜?」のような断片でも、AIは前後の行や日付から文脈をかなり正確に復元してきます。復元できない行だけ、自分で見て思い出せばいい。

分類する時点(書く時点)ではなく、使う時点で分類する。これが順番のすべてです。人間が入口で頑張る設計は続かず、出口で機械が頑張る設計は続きます。

📌 【公開前に対応】TODO: スクショ: Claude Codeにmemo.txtを整理させた出力画面(固有名詞はマスク)

Claude Codeをまだ入れていない方は、導入手順だけに絞った記事があります。コピペで終わります。

説明書が読めなくても大丈夫。コピペだけのClaude Code入門

ちなみにこのブログの記事ネタも、まったく同じ「1行だけ投げ込む」方式で管理しています。ブログをやっている方はこちらが実例になります。

ネタ切れの正体は「回収切れ」——メモ1行のネタ帳が勝手に記事になる仕組み

会議のメモは「取らない」が正解

詰まりポイント①(聞きながら書けない)が最も深刻になるのが会議と商談です。そしてここは、1行メモですら分が悪い。発言を記録する係と会話に参加する係を、同じ脳で同時にやること自体に無理があります。

なので会議は、記録を録音・自動文字起こしに任せて、人間は会話に全振りします。人間が書くのは、会話の最中に頭をよぎった「あとで確認」「これ怪しい」のような1行だけ。逐語メモは機械のほうが正確で、人間は相槌と質問のほうが得意です。得意なほうを担当しましょう。

録りっぱなしの議事録や文字起こしは、そのままだと読み返さないファイルが増えるだけですが、これもフォルダに放り込んでAIに読ませれば「決定事項と宿題の一覧」や、数十件をまたいだ横断分析に変わります。ここは丸ごと1本の記事にしてあるので、会議メモに困っている方はこちらをどうぞ。

「忘れる前提」の仕事術——議事録・商談メモをAIに覚えさせる

紙のメモ派へ:1冊のノートに時系列で書くだけ

「スマホを開くとそのまま別のアプリに吸い込まれる」という人もいると思います(筆者もだらだらスマホを減らす生活を実践中なので、その感覚はよくわかります)。紙のほうが合う人は、紙で同じ思想を再現できます。ルールは1つだけです。

1冊のノートに、何でも、時系列で書く。

  • ノートは1冊だけ。仕事用・プライベート用に分けない
  • ページの使い分け・見出し・色分けをしない。上から順に書くだけ
  • 各ページの頭に日付だけ入れる(探すときの唯一の手がかりになります)
  • 書き終わったノートは捨てず、背に期間を書いて並べておく

分類しない理由はデジタルと同じで、「どこに書くか」の判断をゼロにするためです。探すときは「あれを書いたのは先週あたり」と日付で遡ります。カテゴリの記憶は消えても、「いつ頃だったか」の感覚は意外と残っているので、時系列は分類より検索に強いのです。

紙派の人も、AIの恩恵は受けられます。週に1回、ノートの見開きをスマホで撮って画像ごとAIに渡せば、読み取って一覧化するところからやってくれます。毎日律儀にやる必要はありません。思い出したときにまとめて渡せば追いつきます。

場面別:「1行」の書き方は場面ごとに型が違う

結論から言うと、万能の書き方を探すより、場面ごとに「1行の型」を1つずつ持っておくほうが早いです。1行メモと言っても、会議中と寝る前では書ける量も余裕もまったく違うからです。筆者が使っている型を表にまとめます。共通するのは、「あとで読む自分のため」ではなく「あとで思い出すためのフック」だけを残すことです。

場面制約1行の型実例
会議・商談中聞きながら書けない記録は前述のとおり録音に任せ、書くのは「自分の宿題」と「引っかかり」だけ「見積の前提 あとで確認」「予算感 にごされた?」
電話中片手がふさがる。切った3秒後に消える相手の名前+名詞だけ。切る前に書く「田中さん 折り返し 15時以降」
移動中そもそも書けない書かない。音声入力かボイスメモに言うだけ(文字にするのは後でいい)(音声で)「A社の資料、グラフ差し替え」
寝る前心配事が頭の中で回り続ける心配事をそのまま書き出して、頭から下ろす「請求書 まだ」「ゴミ 燃える 明日」
思いついた瞬間3秒で消える名詞だけでいい。動詞も文脈も不要「メモ 記事ネタ」「風呂 スマホ」

電話だけは順番に注意してください。「切ってから書こう」は高確率で消えます。相手を数秒待たせてでも、通話中に「折り返し、15時以降ですね」と口で確認しながら書く。復唱と1行メモを同時にやると、相手への確認にもなって一石二鳥です。

移動中の音声メモは、それ自体を第2の置き場にしないことだけ気をつけてください。溜まった録音は、週1などまとめてAIに文字起こしと整理を渡して、本流の1箇所に合流させます。入口が2つあっても、合流点が1つなら「1箇所」の原則は守られます。

この方法がうまくいかない時——筆者が踏んだ3つの失敗

「1行・1箇所・AI」の方式にも、挫折パターンがあります。筆者が実際に踏んだものを3つ挙げます。共通する対処の原則は、自分を直そうとせず、仕組みの側を直すことです。

失敗1:投げ込み場所がいつの間にか増えている

気づくと、LINEの自分宛て、開きっぱなしのブラウザのタブ、机の付箋——「1箇所」のはずの置き場が増殖しています。原因は単純で、その瞬間、本流よりそっちのほうが近かったから。人は決めた場所ではなく、距離が近い場所に書きます。

対処は2つです。1つは本流までの距離を縮め続けること。スマホならロック画面やホーム画面の1タップ目に置く、PCなら起動しっぱなしにしておく。もう1つは、増殖を根絶しようとせず、定期的に本流へ流し込む「合流」で吸収することです。LINEの自分宛てに溜まった分を、月に1回まとめて本流にコピペする。それで十分です。増えた場所を全部潰すより、合流点を1つ作るほうが現実的です。

失敗2:1行がだんだん長文化する

慣れてくると「せっかくだから、あとで読んでわかるように」という気持ちが復活します。1行が3行になり、書くのに30秒かかるようになり、億劫になり、書かなくなる。初期のメモ挫折とまったく同じ経路を、少し高い位置からもう一度たどるわけです。

サインは「書くのに10秒以上かかっている」こと。そうなったら意図的に削ります。基準は「句点(。)を打ったら書きすぎ」。文章にしたい欲は、AIが整理した出力側で満たしてください。入口はあくまで殴り書きの1行です。

失敗3:AI整理を回すこと自体を忘れる

見返す習慣がない人間は、当然「AIに読ませる」ことも忘れます。これは意志の問題ではなく、「思い出したらやる」という設計にした時点で確定している失敗です。見返しをAIに渡しても、「AIを起動する」が新しい見返しタスクになってしまったら同じことです。

対処は、定期実行への固定です。段階は2つあります。まず、既にある習慣の直後に貼り付けること。「毎朝PCを開いたら、他の何よりも先に整理の指示を1回投げる」のように、時刻ではなく既存の行動をトリガーにします。それでも忘れるなら、cron(パソコンに備わっている定時実行の仕組み)などで自動化して、人間の記憶から完全に切り離します。「忘れずにやる」を目標にしない。忘れても回る形に変える——この記事全体の原則は、AI整理そのものにも適用されます。

📌 【公開前に対応】TODO: 体験談: AI整理を回す実際の頻度・トリガー(毎朝/週1/自動化の有無など、実運用の形を確認して1〜2文追記)

よくある質問

Q. 1行メモすら書き忘れます
A. 書き忘れは残念ながらゼロにはなりません。ただ「きれいに書こうとして書けない」が「雑なら書ける」に変わるだけで、残る量は体感でまったく違います。あとは置き場への距離を縮めること。ロック画面から1タップで開ける位置に置く、ノートなら常に机の同じ場所に開いて置く、など「開くまでの工程」を削るのが効きます。

Q. メモアプリはどれを使えばいいですか?
A. 何でもいいです、が真面目な答えです。この仕組みで効いているのは「1行・1箇所・AIが見返す」という構造であって、アプリの機能ではありません。むしろ高機能なアプリはタグやフォルダを作りたくなる(=分類が復活する)ので、機能が少ないほうが向いています。AIに読ませる予定があるなら、テキストとして取り出せるものを選んでください。

Q. 仕事中にスマホを出せない職場です
A. 入口を紙に寄せてください。ポケットに入るメモ帳とペンを1組だけ決めて、それを「1箇所」にします。帰宅後にアプリへ転記——は続かないのでやりません。溜まったページをスマホで撮ってAIに読ませれば、転記なしでデジタル側の本流に合流できます。紙ノート1冊方式の携帯版だと考えてください。

Q. 上司に「メモを取れ」と言われますが、書いていると話に追いつきません
A. 「メモを取れ」の実際の中身は、多くの場合「同じことを二度聞くな」「頼んだことを落とすな」であって、逐語の記録は求められていません。なので、指示の直後に口で復唱して、1行だけ書くのが現実的な応じ方です。「金曜まで、ですね」と確認してから「A社 見積 金曜」と書く。復唱は相手への確認と、自分が指示を受け取り損ねていないかのチェックを兼ねるので、黙って長いメモを取るより結果的に落ちにくいです。なお、会議や指示の録音は許可が要る職場が多いので、勝手に始めずに確認してください。

Q. 手書きのほうが記憶に残ると聞きますが
A. よく言われる話ですが、この仕組みはそもそも「記憶に残すこと」を狙っていません。覚えるための書き方と、忘れても困らないようにするための書き方は別物で、この記事は後者です。手書きが手に合うなら紙1冊方式でまったく問題ありませんが、それは記憶のためではなく回収のためです。「書けば覚えるはず」を前提に置くと、覚えていなかったときに仕組みごと崩れます。

Q. 全部同じ場所だと、ごちゃごちゃになりませんか?
A. なります。そして、なっていていいんです。この置き場は「保管庫」ではなく「一時受け」で、きれいな状態はAIが整理した出力側に作られます。入口の美しさを保とうとするのは、ゴミ箱の中を整頓するのに近い行為です。

Q. メモが溜まりすぎて、見るのが怖いです
A. 全部読む必要はありません。怖さの正体は量そのものではなく、「全部自分で処理しなければ」という前提のほうです。AIにはこう指示してください。「この中で、今も対応が必要そうなものだけ挙げて。古いもの・終わっていそうなものは無視していい」。過去の未処理を精算しようとせず、まだ生きているものだけ拾わせる。それでも重いなら、古いファイルは名前を変えて退避し、今日からの空のファイルで再開して構いません。この仕組みの入口はもともとゴミ箱側なので、リセットしても失うものはほとんどありません。

まとめ:メモの仕事を減らせば、メモは取れる

  • 「メモが取れない」は、要約・分類・振り返りまでメモに背負わせたときの破綻。書き留めるだけに戻す
  • 書くのは1行、場所は1つ、時系列。分類は書く時点ではなく使う時点でやる
  • 整理・要約・見返しはAIの仕事。会議に至っては記録ごと機械に任せて、人間は会話に集中する
  • 紙派は「1冊のノートに時系列」で同じ構造を作れる
  • うまくいかなくなったら、直すのは自分ではなく仕組みの側(距離を縮める・合流点を作る・定期実行に固定する)

メモが取れるようになったのではなく、取れないままでも回る形に組み替えた——というのが正確なところです。同じ発想で「覚えておく・続ける・再開する」を仕組みに置き換えた実例を10個まとめた記事もあるので、メモの次はこちらをどうぞ。

ADHDの俺が意志ゼロで回している仕組み10個——「覚えておく必要がある時点で負け」の設計図


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