仕事が続かないのは「職場選び」の問題かもしれない——働き方の選択肢マップ
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「今度こそ長く働こう」と思って入った職場を、また離れることになった。そのたびに「自分の頑張りが足りなかった」と責めていませんか。
筆者もADHD当事者で、段取り・先延ばし・飽き・忘れ物がとにかく苦手です。だからわかるのですが、仕事が続かないとき、私たちは反省の方向をたいてい間違えます。「自分を職場に合わせる努力」が足りなかったのではなく、「自分に合う働き方を選ぶ」という工程を、そもそも一度もやっていないことが多いのです。
実は、働き方には「配慮を求めない一般雇用」以外にもいくつもの選択肢があり、それぞれ法律や制度に裏付けがあります。ただ、この全体地図はどこにもまとまって置かれていません。この記事では、その地図を1枚に描きます。個別の選択肢の深掘りは別記事に分け、まずは「自分は今、地図のどこに立っていて、どこへ動けるのか」を掴めるようにしました。
本記事は制度・サービスの紹介であり、利用を勧誘するものではありません。正確な制度内容はお住まいの自治体・各事業所にご確認ください。
まず全体地図:働き方の選択肢は大きく5つ
「会社勤めか、辞めるか」の二択で考えていると、実際には5つある選択肢のうち3つが視界から消えます。まず一覧で見てください。
| 選択肢 | ざっくり言うと | 向いている状況の例 |
|---|---|---|
| 1. 一般雇用(配慮を求めない) | いまの多くの人の働き方。苦手さは自分の工夫でカバー | 苦手が特定の場面に限られ、自分の仕組みで回せている |
| 2. 一般雇用+合理的配慮 | 一般の職場で、会社に配慮の調整を相談する | 環境が少し変われば働き続けられそうなとき |
| 3. オープン就労(障害者雇用枠) | 特性を開示した上で、雇用枠の求人で働く | 配慮を前提に、安定して長く働くことを優先したいとき |
| 4. 就労移行支援を経由する | 就職の前に、訓練と職探しを支援機関と一緒に進める | 「いきなり就活」の段取り自体がしんどいとき |
| 5. 在宅・フリーランス | 職場という環境ごと自分仕様に設計する | 通勤・オフィス環境そのものが大きな消耗源のとき |
大事なのは、これが優劣の階段ではなく、並列の選択肢だということです。行き来もできます。順番に見ていきましょう。
選択肢1:一般雇用(配慮を求めない)——「工夫でカバー」が回っているなら十分あり
いま多くの人が立っている場所です。特性のことは開示せず、苦手さは自分側の仕組み(リマインダー、タスク管理、AIツールなど)でカバーします。
向いている状況:苦手が「議事録」「タスクの抜け」など特定の場面に限られていて、道具や仕組みで実際にカバーできている場合。筆者自身もこの働き方で、議事録や資料作成などの詰まりやすい工程をAIに渡すことで回しています。
しんどくなりやすい状況:カバーのための「見えない残業」が増え続けている場合。工夫が「隠すための努力」になってきたら、それは次の選択肢を検討するサインかもしれません。
選択肢2:一般雇用+合理的配慮——「相談すること」は法律に裏付けがある
「配慮をお願いするなんて、わがままでは」と感じる人が多いのですが、ここは制度の話です。厚生労働省によると、障害者雇用促進法に基づき、事業主には障害のある人への合理的配慮の提供が法律上の義務とされています(事業主にとって過重な負担となる場合を除く)。
合理的配慮とは、たとえば「口頭指示を後からテキストでももらう」「業務の優先順位を定期的にすり合わせる時間を作る」といった、働き続けるための環境調整を、本人と会社が話し合って決める仕組みです。つまり「特別扱いのお願い」ではなく、会社と交渉のテーブルにつくこと自体が制度として想定されているということです。
向いている状況:今の仕事内容や人間関係は続けたいが、特定の環境要因(指示の出され方、マルチタスクの割り振りなど)で消耗している場合。
注意点:何をどう開示し、何を相談するかは慎重に設計したいところです。詳細は勤務先の人事や、ハローワーク等の公的窓口で確認できます。
選択肢3:オープン就労(障害者雇用枠)——配慮を前提にした雇用の枠組み
特性を開示した上で、企業の障害者雇用枠の求人に応募する働き方です。日本では障害者雇用促進法により、一定規模以上の企業には障害のある人の雇用が義務付けられており、その割合(法定雇用率)は段階的に引き上げられています。つまり企業側にも「配慮を前提に採用し、長く働いてもらう」動機が制度として組み込まれています。
向いている状況:配慮のすり合わせを入社前から前提にできるため、「入ってから隠しながら頑張る」消耗を避けたい場合。安定して長く働くことを優先したい場合。
検討時に知っておきたいこと:求人の職種や条件の幅は一般雇用と異なる場合があります。また、応募には所定の要件があります。要件や求人の実際は、ハローワークや支援機関で確認するのが確実です。
選択肢4:就労移行支援——「いきなり就活」の前に挟めるステップ
「そもそも就職活動の段取り自体が詰まる」「ブランクがあって、いきなり働くのが不安」という場合のための福祉サービスです。厚生労働省の資料によると、就労移行支援は一般企業への就職を希望する65歳未満の障害のある人を対象に、就労に必要な知識・能力の訓練や、求職活動の支援、就職後の定着支援などを行う制度で、利用期間は原則2年以内とされています。
ポイントは、就活の最難関である「段取り」——書類、応募、面接対策、企業とのやりとり——を支援員と一緒に進められることです。段取りが苦手なタイプにとって、ここが一人か伴走ありかは大きな差になります。
事業所ごとに特色があり、たとえばatGPジョブトレ 発達障害コースのように、公式サイトによると発達障害のある人専門のコースを設けている事業所もあります。どの事業所も、まずは見学から始めるのが一般的です。
とはいえ「見学の申し込み」という段取りがすでに関門だ、という人もいるはずです(筆者ならそうです)。見学までの段取りを全部書いた記事を別に用意しています:就労移行支援とは何か。見学に行くまでの段取りを全部書く
選択肢5:在宅・フリーランス——「職場」という環境ごと設計し直す
通勤、オフィスの音、割り込み、暗黙の了解——消耗の原因が業務内容ではなく「職場環境そのもの」にある場合、環境ごと自分仕様に作り替えるという選択肢があります。
ただし正直に書くと、フリーランスは段取り・期限管理・営業を全部自分でやる働き方でもあります。段取りが苦手な人がそのまま飛び込むと、苦手が最も濃縮された環境になりかねません。だから筆者は、この選択肢は「AIに工程を渡す仕組み」とセットで考えるべきだと思っています。実際、このサイト自体、筆者がClaude CodeというAIツールに記事作成から入稿までの工程の大半を渡して運営しているものです。
いきなり独立ではなく、副業として小さく試すのが現実的です。興味があれば、まず環境構築から:Claude Codeのインストール手順(つまずきポイント込み) / Claude Codeで記事作成からWEB公開まで進める手順
どう選ぶか:「頑張れる量」ではなく「詰まりポイント」から逆算する
5つ並べると「どれが一番いいのか」と考えたくなりますが、順位付けは不要です。代わりに、前の職場で自分がどこで詰まったかから逆算してみてください。
- 特定の業務・場面だけで詰まった → 選択肢1のまま仕組みを足すか、選択肢2(合理的配慮)の相談
- 隠しながら働くこと自体に消耗した → 選択肢3(オープン就労)の情報収集
- 就活・転職活動の段取りで毎回止まる → 選択肢4(就労移行支援)の見学
- 職場環境そのものが消耗源だった → 選択肢5を副業から小さく試す
また、これらは組み合わせられます。「一般雇用で働きながら副業で在宅を試す」「就労移行支援を経てオープン就労へ」など、地図の上を移動しながら自分の座標を探すイメージです。
まとめ:責める前に、地図を見る
- 仕事が続かないとき、足りないのは根性ではなく「働き方を選ぶ」という工程であることが多い
- 選択肢は「一般雇用/一般雇用+合理的配慮/オープン就労/就労移行支援/在宅・フリーランス」の5つ。優劣ではなく並列
- 合理的配慮や就労移行支援は、法律・制度に裏付けのある仕組み。「わがまま」でも「特別扱い」でもない
- 選ぶ基準は「どれだけ頑張れるか」ではなく「前の職場でどこで詰まったか」
次の職場を探し始める前に、5分だけこの地図を眺めてみてください。「頑張り方」ではなく「立つ場所」を変えるほうが、ずっと少ない力で長く働けることがあります。
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